日本代表がワールドカップ制覇のために必要なこととは?
日本サッカー協会が定める目標の中にこんなものがある
2050年までにワールドカップを自国単独開催とする
2050年までにワールドカップで優勝する
非常に素晴らしい目標であり、夢がある
これを聞いたときは、ものすごくワクワクした
日本サッカー協会が行う指導者養成プロジェクトを一度でも受講したことがある人は必ず聞いたことがあるだろう
実際私も2度ほど経験しているが、2回ともものすごくわくわくしたし、絶対やってやろう!この目標を達成するための活動を行いたいと思ったものだ
ただ現状で日本代表がワールドカップで残している成績は、出場5回、最高成績がベスト16となっている
2002年の日韓共同開催でのワールドカップでベスト16
このときはまだサッカーに対しての熱量が少なかった時なので、そこまで記憶にないが日本中がサッカー一色となり、一大ブームが巻き起こっていたことは覚えている
2010年も南アフリカワールドカップにてベスト16
このときは、真夜中であったにもかかわらず友達と家に泊まりながら見ていた記憶がある
時間的に厳しいものがあったので日韓ワールドカップほどではないが、非常に盛り上がっていた
このようにワールドカップとは日本中が歓喜にわいたり、失意を味わったりと注目度が高い大会であり、その大会で結果を残すことこそ日本代表が最もしなければいけないことである
ただ、ベスト16の壁をいまだに破れていないし、破れそうな感じも今のところはしていないと思う
これは僕だけでなく、みなさんも感じているものだと思う
なので日本代表がワールドカップで優勝するためには、何が必要か、結果を残している海外と何が違うのか、さらに今後日本代表がどのように歩んでいけばいいのかを書いてみようと思う
個人的にずっと考えていたことをひたすら書き続けるだけで、批判とか中傷とかをしているつもりは全く無いので(笑)
- 日本代表、Jリーグの現状
- Jリーグの今まで
- スペイン代表とバルセロナ
- ドイツ代表とバイエルンミュンヘン
- イタリア代表とユヴェントス
- 代表チームのクラブチーム化
- 自国リーグの発展と強化
- Jリーグの育成組織を整える
日本代表、Jリーグの現状
まず日本代表が今までにどんなサッカーをし、どんな結果を残してきたか
Jリーグが現在どのようなものになっているかを書いていく
上でも書いたが日本代表のワールドカップ最高成績はベスト16で2002年と2010年の2回たどり着いている
この2回はどのようなものだったか
2002年日韓ワールドカップ 日本代表
単独ではないが自国開催ということもありコンディションを整えることを考えると他国よりも非常にアドバンテージを得ていた
さらに1993年にJリーグが開催し一大ブームとなっていたが、この時は少しサッカー人気が落ち込んでいた
その人気を取り戻すきっかけとなったのが、ワールドカップであり各メディアがこぞって取り上げていたので、注目度も高く非常に日本代表としてはモチベーションが高まる良い条件であった
この頃の日本代表は、松田直樹、中田浩二、森岡隆三、柳沢敦、明神智和、楢崎正剛、中田英寿、小野伸二、稲本潤一、小笠原満男、宮本恒靖などシドニー五輪世代と黄金世代と呼ばれた世代などが選出されており、メンバー的にも非常に期待できるメンバーであった(中村俊輔の選外は今でも波紋を呼んでいる)
フィリップ・トルシエが指揮を行っていて、基本布陣は3-4-1-2でこの頃騒がれていたフラット3が行われていた時代である
攻撃は小野伸二と中田英寿をパスワークの中心で、前線の柳沢敦、鈴木隆行をフィニッシャーに置き、後列方から運動量豊富な稲本潤一が攻撃参加を行うことが多かった
比較的、戦術に当てはめているわけではなく選手の個々の技量に頼るものが多かった
守備では戦術理解度の高い中田浩二、宮本恒靖、松田直樹のフラット3を中心に高いDFラインを引くことでオフサイドを有効に活用するという、意志の疎通が難しい代表チームでは珍しい方法だったかもしれない
さらに中田英寿、森岡隆三、中山雅史というメンタルの強いモチベーターがいたおかげでチームとしてのまとまり、一体感が非常に高いチームであった
結果はグループリーグでベルギーに引き分け、ロシアに勝利、チュニジアに勝利したため1位で通過した
特に守備が良く、3バックと楢崎正剛を中心とした粘り強い守りが印象的であった
決勝トーナメント1回戦ではビルドアップの不用意なミスから失点し、攻撃面での連携不足が浮き彫りになっていた
2010年南アフリカワールドカップ 日本代表
南アフリカで開催され、時差もありその土地特有のブブゼラという応援グッズの影響もあり、コンディションという面ではそこまで期待できなかった
さらに今大会は岡田武史監督の二度目のワールドカップである
というのも、岡田武史監督の前にオシム監督であったが体調を崩し急遽、岡田武史監督が就任することとなった
メンバーは、阿部勇樹、駒野友一、田中マルクス闘莉王、遠藤保仁、松井大輔、中村俊輔、玉田圭司、中村憲豪、今野泰幸、大久保嘉人、中澤佑二といったアテネ五輪世代を中心に、本田圭佑、岡崎慎司、内田篤人、長友佑都などの北京五輪世代が加わったメンバーであった
この年代は若い時からあまりタイトルに恵まれず谷間の世代、谷底の世代と揶揄されていた
ワールドカップ前には、ポゼッションサッカーだったり前線からのプレッシングによりショートカウンターを狙うという戦術を採用していたが、東アジアカップやワールドカップ直前の練習試合であまりにも連携が取れず結果も出なかったため、堅守速攻へとワールドカップ直前にスタイルチェンジを行った
それに伴いそれまでは、4-2-3-1で右MFの中村俊輔を中心に攻撃を組み立てていたが、4-1-4-1に変更し右MFに松井大輔が入ることになる
堅守速攻のためには個人で前進できるプレーヤーが必要であり、中村俊輔はタメや時間を作ることに秀でているため、スタイルに合わないと判断したのだろう
さらにGKにシュートストップが魅力の川島永嗣に変更に
さすが理論派の岡田武史監督と言うべきものだと思う
堅守速攻のスタイルに変更した日本代表は、オランダに敗北したもののカメルーンとデンマークに勝利し2位でグループリーグ突破を果たした
守備では4-1-4-1の守備ブロックを作り自陣深くに引いて守る
特に真ん中の遠藤保仁と長谷部誠のインサイドハーフとアンカーに座る阿部勇樹からなる真ん中のエリアは非常に固いものがあった
3人とも戦術理解度が高く、献身性もありこの戦術にはうってつけの人物であった
さらにCBには中澤佑二と田中マルクス闘莉王という日本で頂点を争う空中戦の強さと対人の強さ、メンタリティーを備えている
攻撃では両サイドハーフの松井大輔と大久保義人が独力で突破をし、ここも強靭な身体の強さとメンタリティーと勝負強さを備えた本田圭佑が頂点で待つ
このころの日本代表にとっては、わかりやすく非常に理にかなった戦術であった
とここまでがどちらかというとうまくいった日本代表の今までである
対して非常に期待されながらも思うような結果を得られなかったときもある
2006年ドイツワールドカップ 日本代表
2002年日韓ワールドカップの成功の後、世界的なスーパースターであった元ブラジル代表ジーコを監督として招聘した
2006年ドイツワールドカップでは、どちらかというと若手の部類に入っていた中田英寿、小野伸二、中村俊輔、稲本潤一、宮本恒靖、らが27歳~29歳でサッカー選手としてピークの時代であったため非常に国民からの期待度も大きかった
3-4-1-2というトルシエ監督時代と同じフォーメーションを採用していたが、どちらかというとトルシエのような戦術的なサッカーではなく、個々のアイディアとテクニックを生かした個人技重視のサッカーであった
時に非常に魅力的な場面を見せる時もあるが、個々の能力で劣るときや相手が研究してきて戦術的に守備や攻撃をしてくるチームに対して弱い印象があった
実際クロアチアには引き分けたものの、オーストラリアとブラジルに敗れた
ブラジルには個人技でオーストラリアは、守備陣と攻撃陣の連携の悪さとセットプレーの対処の悪さ、終盤に足が止まる日本代表の弱点をうまくつき、オーストラリアのゲームプラン通りに試合を運ばれた印象がある
この2006年ドイツワールドカップでは、ほぼ何もいいところがなく大会を終えている
この年を境に本気で今までの日本代表、Jリーグ、育成年代を見直そうという動きが活発になったと感じる
というのも海外でプレーする選手が非常に多くなり経験も積み、その前の2002年日韓ワールドカップである程度の結果を残していたためであった
監督であるジーコもベスト4を目指すと公言していた
Jリーグの今まで
1993年のJリーグ開幕と同時に一時期空前のサッカーブームが到来していた
三浦知良のド派手な衣装と演出により、これから何が起こるのだろう、というワクワク感を全ての人が持っていたと思う
今ではオリジナル10と呼ばれるJリーグ発足当初のチームが、鹿島アントラーズ、ジェフ千葉、浦和レッズ、東京ヴェルディ、横浜マリノス、横浜FC、清水エスパルス、名古屋グランパス、ガンバ大阪、サンフレッチェ広島である
その後多数のチームが加盟し現在では、
J1 北海道コンサドーレ札幌、ベガルタ仙台、鹿島アントラーズ、浦和レッズ、大宮アルディージャ、柏レイソル、FC東京、川崎フロンターレ、横浜マリノス、ヴァンフォーレ甲府、アルビレックス新潟、清水エスパルス、ジュビロ磐田、ガンバ大阪、セレッソ大阪、ヴィッセル神戸、サンフレッチェ広島、サガン鳥栖
以上18チーム
J2 モンテディオ山形、水戸ホーリーホック、ザスパクサツ群馬、ジェフ千葉、東京ヴェルディ、町田ゼルビア、横浜FC、湘南ベルマーレ、松本山雅、ツエーゲン金沢、名古屋グランパス、FC岐阜、京都サンガ、ファジアーノ岡山、レノファ山口、カマタマーレ讃岐、徳島ヴォルティス、愛媛FC、アビスパ福岡、ファーレン長崎、ロアッソ熊本、大分トリニータ
以上22チーム
J3 グルージャ盛岡、プラウブリッツ秋田、福島ユナイテッド、栃木FC、YSCC横浜、SC相模原、長野パルセイロ、カターレ富山、藤枝MYFC、アスクラロ沼津、ガイナーレ鳥取、ギラヴァンツ北九州、鹿児島ユナイテッド、FC琉球、FC東京U23、ガンバ大阪U23、セレッソ大阪U23
以上17チーム
という風にプロチームは3部に分かれている
この進歩はすさまじいもので、日本の経済成長が無ければここまでの成長はできなかっただろう
さらにこの下にもJFLというものや、地域リーグなど様々な形でサッカーが行われている
Jリーグ発足当時は後に日本代表の監督となる元ブラジル代表ジーコや有名選手がっ加わっていたチームもあり、注目度の高さがうかがえた
最近では、元ウルグアイ代表ディエゴ・フォルランや、元ドイツ代表ルーカス・ポドルスキなどがJリーグに参戦している
またローマ所属のイタリアの王子様フランチェスコ・トッティなどがJリーグに興味を示していることも考えると、またJリーグが発足当時のように注目度が高くなってきたことがわかる
鹿島アントラーズ
その中でも結果を残し続けているクラブは、鹿島アントラーズである
鹿島アントラーズは今までに国内外合わせて28個のタイトルを獲得していて、2位の浦和レッズの7個と比べると大差をつけている
鹿島アントラーズと言えば、勝負強い、勝者のメンタリティーを持っている、伝統の勝負強さと誰もが強いイメージを持っている
実際私が観ていても、球際の強さであったり、ゴール前の守備、ゴール前の攻撃など勝負ところでことごとく勝っている印象がある
昨年のクラブワールドカップでも、欧州チャンピオンのレアルマドリード相手に互角とはいえないが、日本中に希望を照らすような戦いをしてくれた(差はかなり大きかったが)
その鹿島アントラーズのクラブの哲学を観ると勝利のために走り続けるというものがある
これは今でも鹿島アントラーズの選手に受け継がれていると感じるシーンが多い
それをフロントもよく理解をしていて、勝利にこだわるという文化が強いブラジル人監督やブラジル人選手を獲得することが多い
さらに日本人選手を獲得する際にも、人間性だったりメンタリティーの部分を評価して獲得している印象がある
これは一貫した哲学であり、選手補強も含めて適した人材を観つける手腕が優れていると言えるだろう
サンフレッチェ広島
さらに結果を残しているクラブをあげるとするとサンフレッチェ広島だろう
サンフレッチェ広島は浦和アントラーズや鹿島アントラーズのように国際的に結果を残していたり、常勝軍団というわけではないが近年飛躍的に結果を出しているチームである
2012-2013シーズンにはJ1初優勝を遂げ、その翌年も優勝し2連覇を成し遂げる
その二年後にも優勝し4年間で3度の優勝をする
このように結果を観ても素晴らしいチームだということはわかるが、サンフレッチェ広島という日本の中でも金満なクラブではないクラブがなぜ優勝できたか
それはサンフレッチェ広島の哲学にある、選手の育成と良質な選手の確保が成功している証拠であろう
ビッグクラブではない広島は毎年主力選手が引き抜かれる
特に現在浦和レッズを率いるのは前サンフレッチェ広島の監督であるペトロヴィッチ監督であり、現サンフレッチェ広島の森保一監督は3-6-1という独特のフォーメーションを今でも引き継いでいるので、そのまま浦和レッズのフォーメーションに当てはめることが可能なことからも、補強の第一優先チームになるだろう
毎年そんな状況にありながら、毎年新たな若手が台頭してくる
例を挙げると佐藤寿人、石原直樹、柏木陽介、森脇良太、槙野智章、西川周作、高萩洋次郎、千葉和彦、浅野拓磨、塩谷司、青山敏弘、森崎浩司、森崎和幸、など挙げるときりがないくらいだ
さらに即戦力という点でも成功している
ミキッチ、ドウグラス、柴崎晃誠、柏好文、林卓人、水本裕貴などである
このように近年成功をしている要因としては、クラブの哲学に沿った補強と育成により適切な選手を確保していることがあげられる
とここまでがこれまで日本代表がどのような結果をどのように残してきたか
Jリーグが開幕してから今まででどんなクラブがどのような方法で結果を残してきたかというものを個人的な見解で説明をさせてもらった
これらを少しわかりやすくまとめると
日本代表は、個で勝負するというよりも組織的に戦う監督と組織的に戦っていたワールドカップで結果を残している
Jリーグでは、一貫した哲学とそれを達成するためのフロントがいることと、その哲学を深く理解した監督がいるチームが結果を残している
それでは日本代表とJリーグがこのようになっているのなら海外のチームはどうだろうか
今回はスペイン代表とバルセロナ、ドイツ代表とバイエルンミュンヘン、イタリア代表とユヴェントスの3パターン説明したいと思う
スペイン代表とバルセロナ
スペイン代表はリーガエスパニョーラという非常にレベルの高いリーグを国内に有していて、長らくワールドカップでも優勝候補と言われていた
1978年大会から連続出場を続けているところを見てもそれがわかるだろう
ただ1950年代に4位になった大会以外では、全く良い結果が出ていなく「永遠の優勝候補」と揶揄されていた時代もあった
そんな言葉を一蹴したのが2010年南アフリカワールドカップである
2010年南アフリカワールドカップ スペイン
この年のワールドカップでは世界中を震撼させるようなサッカーを繰り広げた
まずワールドカップ予選では10戦全勝で堂々の首位でワールドカップ出場を決める
その勢いのまま行くかと思われたが、グループリーグ予選の初戦スイスに敗れるという波乱に
だがその後のチリ戦、ホンジュラス戦は順当の勝利で決勝トーナメント進出を決める
そのまま勝ち進決勝ではオランダと延長戦の末勝利し、見事初優勝を成し遂げる
永遠の優勝候補というイメージを払拭した
特筆すべきはそのサッカーである
毎試合ポゼッション率が70%を超えるのであろうかと思うくらいボールを支配し続ける
その中心となっていたのは、カルロス・プジョル(バルセロナ)ジェラール・ピケ(バルセロナ)セルヒオ・ブスケス(バルセロナ)シャビ・エルナンデス(バルセロナ)アンドレス・イニエスタ(バルセロナ)ペドロ・ロドリゲス(バルセロナ)ビジャ(バルセロナ)であった
というのもその年のバルセロナは、ペップ・グアルディオラ監督のポゼッションサッカーが全盛期の時代であり、そのサッカーをそのままスペイン代表の基盤としたのである
ポゼッションサッカーのメリットは多々あるが、ボールを保持することで失点する危険性を減らすことがこの時のスペイン代表の大きな目的のひとつとなっていた
この2010年ワールドカップでは決勝までの4試合を無得点で終えたり、8得点2失点と最少失点も最少得点も記録している
バルセロナ
もうそんなに説明しなくてもほとんどの人がこのクラブの哲学やメソッドなどを聞いたことがあると思う
ただ、少しだけ説明しようと思う
「クラブ以上の存在」というスローガンのもとソシオ制というファンクラブ制度を用いている
一般市民から会員を募り、その会費でチームを運営している
これはクラブが独自ですべての意思決定を行うのではなく、ファンにもその意思決定の票を与えようというものである
バルセロナは長らくこの方法を取っていて、クラブが成功するためにはクラブが頑張るだけでなく、ファンも含めて一緒に戦うことによってお互いの満足感も生み、結果も得れるという考え方である
日本には馴染みのない方法であるが、非常に理にかなっている
「攻撃的でスペクタクルなサッカー」を哲学としており、たとえ試合に勝ったとしても守備的な戦いであったり、魅力的なサッカーでなかった場合は容赦ないブーイングが浴びせられる
このような風潮は海外では多々ある光景であるがバルセロナはその色が最も強いクラブとも言える
極端に言うなら結果よりも内容で、評価される場合がある
さらに特徴を上げるとするとその育成組織である
カンテラと呼ばれる育成組織はラ・マシアと呼ばれる選手寮に預けられ、年齢と能力によって約11のカテゴリーに分けられる
1990年代以降この組織の結果が評価されるようになり、ペップ・グアルディオラ、シャビ・エルナンデス、リオネル・メッシ、アンドレス・イニエスタ、ビクトル・バルデス、カルロス・プジョル、ジェラール・ピケ、セスク・ファブレガス、ペドロ・ロドリゲス、ジョルディ・アルバ、チアゴ・アルカンタラ、ラフィーニャ、ボージャン、など数多くのスター選手を輩出している組織である
これだけの世界的な選手を輩出しているクラブは全世界を見渡してても、バルセロナ以外にはないだろう
その要因の一つに挙げられるのが、育生年代からトップチームまで一貫した哲学を用いていることだろう
バルセロナの育成年代は、トップチームと同じく「攻撃的でスペクタクルなサッカー」を求められている
フォーメーションはトップチームと同じく4-3-3を基本戦術として用いている
ビルドアップ時にはコートを最大限広く使いボールを保持しながらゴールを狙い続ける
特にトップチームと同じ形を強く感じられるのが、DFラインからのビルドアップである
両CBが大きく広がりその間にアンカーが落ちてきて、その分SBを高い位置に置き、両FWがインサイドにポジションを取る
これはよくトップチームでも観る光景である
しかもそれを小学生の年代からバルセロナは普通に行っている
このように、育生年代から一貫した哲学を貫くことでトップチームで出場した際にできるだけスムーズにチームに溶け込めるようにしている
そのための育成組織なのである
ドイツ代表とバイエルンミュンヘン
ドイツ代表は国際的に非常に結果を残している国の1つである
実際にワールドカップで4度の優勝ヨーロッパ選手権では3度の優勝を経験しており、常に国際大会で結果を残している
逆に言うと、2014年ブラジルワールドカップで優勝するまでは、良い意味でも悪い意味でも内容を度外視し、結果のみ残す国と言われていた
さらにドイツ国内のリーグであるブンデスリーガは、近年急激な成長を遂げており有名選手が数多く在籍するにふさわしいリーグとなっている
実際に2012-2013シーズンのチャンピオンズリーグ決勝はバイエルンミュンヘン対ドルトムントのドイツ対決となっている
ヨーロッパ五大リーグで堂々のダントツナンバーワンになっていることがある
それは1試合の平均年間観客数である
ドイツは2位のイングランドプレミアリーグより約8000人ほど多い観客数を誇っている
次に2014年ブラジルワールドカップはどんな戦いをしたのだろうか
2014年ブラジルワールドカップ ドイツ代表
この前の2010年南アフリカワールドカップで、衝撃的な強さを見せつけたスペイン代表が優勝の筆頭候補に挙がっていたが、そのスペイン代表はまさかのグループリーグ敗退
そのお株を奪うようなポゼッションサッカーを繰り広げたのが、ドイツ代表である
今までは恵まれた身体の大きさとフィジカル、ゲルマン魂といわれた不屈のメンタリティーを前面に押しだし、勝利をつかんできたドイツ代表であったがそれだけではベスト4ベスト8止まりだったこともあり、スタイルを変更
そのきっかけとなったのが2013年のバイエルンミュンヘンにグアルディオラ監督が就任したことだ
グアルディオラ監督がは即座にバルセロナでやっていたようなポゼッションサッカーをバイエルンミュンヘンに植えつけ、リーグ最速優勝を飾る圧倒的な強さと攻撃的なサッカーを見せつけた
そのバイエルンミュンヘンで中心選手となっていた選手である、ボアテング、トーマス・ミュラー、キミッヒ、ノイアー、マリオゲッツェ、フィリップラーム、シュバインシュタイガーが、ドイツ代表でも中心となりバイエルンミュンヘンに近いサッカーを持ち込んだ
このワールドカップで一番の衝撃を与えた試合がある
それは準決勝でブラジル代表を7-1で破った試合である
開催国として王国ブラジルは何としても王座の派遣を奪回することが至上命令であったが、その気持ちを一瞬で崩したのが、ドイツ代表だ
何もポゼッションサッカーにとらわれて常にボールを保持しているわけではなく、今まで結果を残していたように、守るときは全員で身体を張って守り、セットプレーの得点で勝利を手にした試合もある
ドイツが結果を残してきた方法を全て排除したわけではなく、それにプラスαバイエルンミュンヘンのポゼッションサッカーを取り入れただけである
さらに育成年代の育成も成功しており、今ではパリサンジェルマンのユリアン・ドラクスラー、リヴァプールのエムレ・ジャン、ドルトムントのユリアン・ヴァイグル、シャルケのマイヤー、マンチェスターシティーのリロイ・サネなど、20代前半で各クラブでなくてはならない存在にまで既に上りつめている
バイエルンミュンヘン
言わずと知れたドイツのメガクラブである
今までドイツ国内で27回優勝、チャンピオンズリーグも5回の優勝を誇っている
近年目覚ましい成長を遂げているドイツブンデスリーガを常に先頭に立って引っ張てきたチームである
そのクラブのアイデンティティは勝利が植えつけられており、勝利のためなら何でもするような姿勢がある
実際に現リヴァプール監督のユルゲン・クロップがドルトムントを率いて一時代を築いていた時も、ドルトムントの中心選手であったマリオゲッツェ、ロベルト・レヴァンドフスキ、さらには絶対的なキャプテンであったマッツ・フンメルスを獲得している
これはライバルチームから主力選手を引き抜くことで、自チームを強化しライバルチームを衰退させるといった手法である
非常に理にかなってはいるが、ファンからするともっと競争力の高いリーグを期待している人もいるだろう
そのくらいドイツ国内では絶対的な王座に君臨している
バイエルンミュンヘンじゃ育成組織ももちろん素晴らしいものを持っているが、特筆すべきはトップチームの移籍市場での強化である
育成選手としては、現主将のフィリップ・ラーム、トーマス・ミュラー、マッツ・フンメルス、ダビド・アラバ、トニ・クロース、キミッヒなどがあげられるが、
移籍市場では上記の選手以外にも、アリエン・ロッベン、フランク・リベリー、ダグラス・コスタ、ハビ・マルティネス、マンジュキッチ、ビダル、チアゴ・アルカンタラ、など様々な選手を獲得し、フィットさせている
そういう意味でもフロントを含めた組織が成功を収めている
イタリア代表とユヴェントス
イタリアにはセリエAという1990年代では右に出る国がないほど、世界最高のリーグと評され、世界各国のスター選手が集まっていた
ロベルトバッジョやジネディーヌ・ジダン、マラドーナなど超有名選手がいた
ただ、当時のビッグクラブと呼ばれていた、フィオレンティーナ、ラツィオ、パルマ、ローマなどは経営不振や経営難にあえぐことになり巨額の負債を抱えることになり、そこから徐々に衰退していった
さらにイタリアナンバーワンビッグクラブである、ユヴェントスもカルチョスキャンダルにより2部降格が命じられるなど様々な経営実態が明らかになった
ただ、イタリア代表は世界でも結果を残している国であり実に4度のワールドカップ優勝を成し遂げている
その特徴は何と言っていもカテナチオという鉄壁の守備にある
GKを含めたDF陣が中心となり、どんなに攻め込まれたとしても絶対にゴールは割らせない
粘り強く守った後は、数人のファンタジスタに攻撃の全権を託す
イタリア伝統の戦い方である
その結果を残した2006年ドイツワールドカップを振り返ってみよう
2006年ドイツワールドカップ イタリア代表
これまでもこれからも類を見ないであろうイタリア代表の豊富な才能が集結したタレント軍団の年代である
ブッフォンをはじめ、アレッサンドロ・ネスタ、ファビオ・カンナバーロ、マテラッツィを中心としたDFラインと闘犬ガットゥーゾがカテナチオを形成し、フランチェスコ・トッティ、アンドレア・ピルロ、デルピエロ、インザーギが独力で相手ゴールを奪うチームである
グループリーグから快勝というわけではないが、持ち前の粘り強さと勝負強さを発揮したイタリア代表は順当に決勝に進む
決勝では、誰もが知っている事件が起きた試合だ
ジダンの頭突き事件である
ジダンを失ったフランスは統率力を欠き、失点
それからはフランスペースであったが、ここでもカテナチオを発揮しフランスにイタリアの倍以上のシュートを打たれているにも関わらず、1失点に抑える
そしてPK戦の末勝利を飾っている
ここで特筆すべきは、イタリア代表のメンバーで全員がイタリアセリエAのチームに所属している
イタリア独自のカテナチオのサッカーが身体に染み付いた集団だったのであろう
ユヴェントス
2006年のカルチョスキャンダルは非常に不名誉なことであるが、イタリア最大のメガクラブに疑う余地はない
実にセリエAを33回、チャンピオンズリーグを2回制している
イタリア伝統のカテナチオが深く浸透しているクラブであり、そこにいた選手からもそれはわかる
ブッフォン、ファンデルサール、リリアン・テュラム、ザンブロッタ、バルザーリ、ボヌッチ、キエッリーニ、プラティニ、ダーヴィッツ、ネドベド、ポグバ、ケディラ、ビダル、バッジョ、デルピエロ、アンリ、イブラヒモヴィッチ、テベス、イグアインなどである
ユヴェントスも補強という観点で言うとバイエルンミュンヘンに似ているところがあり、自国のライバルチームから主力選手を引き抜くことが多い
イグアインは最も顕著な例である
最近では、ピルロやデルピエロ、ポグバなどがいた影響からポゼッションの割合を高めてイタリアでなくヨーロッパで勝つチームに仕上げている印象はあるが、根底にあるのはカテナチオであり、5バック気味に勝負ところでは引いて守る印象がある
以上が国の代表とその国のリーグ所属チームの関係である
これらを観てみると、あることが関係しているとすぐにわかる
それこそ日本代表がワールドカップで優勝するために必要なことではないかと考えている
以下からはそれらについて書いていきたい
それは、ワールドカップで優勝又は良い結果を残すためには、自国のリーグの発展、強化が影響しているということ、代表チームのクラブチーム化である
代表チームのクラブチーム化
これは非常に難しいことではあるが、最近結果を残している国はほとんどがこのような風潮になってきている
スペイン代表がバルセロナの選手を軸にしたポゼッションサッカーする
ドイツ代表がバイエルンミュンヘンの選手を軸にポゼッションサッカーに自国の強みを加える
イタリア代表がユヴェントスを中心にカテナチオを形成する
これは今では自然な流れである
そのメリットは以下にある
連携の最大化
代表チームというのは、クラブチームと違いほぼ毎日一緒に練習を行っているわけではなく、数か月に一度合宿のようなものを行いチーム戦術など連携を行っている
それでは正直に言って十分なコミュニケーションが取れるとは言えない
だからこそクラブチームの戦術を全てではないが、大きく取り入れることでその連携不足を補うことができる
例えばJリーグのチャンピオンチームである浦和レッズや鹿島アントラーズの戦術、選手を日本代表に多く取り入れればそれができるのか?
答えは、連携不足は補えるが選手個々のレベルが世界で戦えるに達しないと考える
Jリーグの競争力というのはそこまで高いものではない
やはりインテンシティーや戦術レベルなどを見てもヨーロッパの方が高いであろう
ではどうすれば良いのかというと
ヨーロッパの強豪チームの1つに日本代表を数多く在籍させること
これを行えば連携不足と個々のレベルの両方を兼ね備えることができる
これは本田圭佑も言っていることだが近い将来、ヨーロッパの強豪チームに数多くの日本人選手が在籍する姿を期待する
自国リーグの発展と強化
近年ワールドカップで結果を残している国の共通点は、自国のリーグに所属するチームが国際舞台で活躍しているということ
スペインではバルセロナやレアルマドリードが、ドイツではバイエルンミュンヘンやドルトムント、イタリアではユヴェントスである
これらのクラブチームは国際大会で数多くの結果を残している
それに伴いそのチームに所属する選手は経験値が増え、代表チームが強くなるということだ
さらにスペインを例に挙げてみる
スペインではバルセロナとレアルマドリードというメガクラブが主導権を握っている
よく言われているのがスペインはこの2チームだけで、競争力がないリーグだと
そんなことは全くないと考えている
というのも毎年レアルマドリードもバルセロナも下位チームに数試合負けることがある
さらにヨーロッパリーグというチャンピオンズリーグの下に当たる国際大会でもスペインのチームの活躍が非常に目立つ
ということは競争力自体はあるのだ
強いて言うなら、バルセロナとレアルマドリードが常に進化し、他を寄せ付けない次元まで毎年引きあがっているからだろう
下位チームに敗北している試合を観てみると、非常に下位チームが戦術的に戦っていることがわかる
バルセロナとレアルマドリードに勝つために事前にスカウティングを行い、弱点と特徴を洗い出し、自チームとかみ合った時にどのような現象が起きるのか、また失点しないためには、得点するためにはどのようなことが必要かという綿密な計画が行われ、試合に臨んでいることが非常によくわかる
実際この2チームがやられているシーンを観るといくつかの共通点がある
ということは日本代表が優勝するためにはJリーグが発展、強化する必要がある
Jリーグの発展と強化
ではJリーグが発展するためには何が必要なのだろうか
最近になりセレッソ大阪にディエゴ・フォルラン、カチャル、ヴィッセル神戸にルーカス・ポドルスキなど世界的に有名なプレーヤーが移籍してくるということは、Jリーグは徐々に成長してきて世界的にも少しづつ知名度が出てきたのであろう
さらに本田圭佑がACミランに、長友佑都がインテルに、香川真司がマンチェスターユナイテッドやドルトムントというビッグクラブに行くようになったり、岡崎慎司のようにレスターで中心選手となりプレミアリーグを優勝したり、各国のリーグにどんどん若手が挑戦できるようになっている
これを観るとある程度育成に少しづつ成功し始めているのかもしれない
ただ、モナコ所属の18歳ムパッペが年間25ゴールほど叩き出したり、チャンピオンズリーグで5得点を挙げたりと世界的に観るとまだまだ足りない現状である
ということはまずは育成組織を整えることがあげられるだろう
Jリーグの育成組織を整える
まず初めに言っておくとこれはJリーグのユースチームなどの下部組織のことではない
地域のクラブチームのことである
なぜ地域のクラブチームの育成組織を整えないといけないかというと、サッカーの能力が高い絶対数を増やすことで、競争力を生み出し強化するということだ
Jリーグに下部組織が丁寧な指導を受けることは当たり前だが、そのJリーグの下部組織に選手を送るチームである地域のチームが、そうでないともちろんJリーグの下部組織に良い選手は入ってこない
では具体的に育成組織とは何か
1つはハード面である
ハード面
日本はあまりにも子供が練習できる場所が少ない
よくグラウンドがなくて練習ができないチームを目にすることがある
日本は徐々に経済発展をしてきて、どんどん建物が建ち経済的に裕福になってきているのかもしれない
ただ、どの代償として子供がサッカーができる場所が減ってきている
建物が増えたことに加えて、日本の教育現場にも影響が及んでいる
体育の授業で怪我をするからサッカーをやらない学校や、本来子供たちが遊ぶ場である公園でボールを使うことが禁止になっていたり、様々なサッカーとは関係のない部分も影響している
ただ、これを無関係にしていてはいけない
日本サッカー協会が中心となり、サッカーを活性化させていったり、グラウンドを増やすことだってできる
例えばガンバ大阪などは、新スタジアムを建設した
選手との距離が最短で2メートルほどという海外のスタジアムと比べても遜色のないグラウンドである
そのように日本サッカー協会やJクラブが本気になればいくらだってグラウンドは確保できる
だから日本サッカーのためにぜひとも本気になってほしいと強く思う
もう一つは指導者の成長である
指導者の成長
日本サッカーが成長するために今一番欠けている点だと考えている
これはまだまだサッカーが根付いていないので、今はまだ仕方ないと言えるかもしれない
というのも日本では小学生年代のチームはほとんどボランティアでコーチをしていると思う
ボランティアが悪いというわけではないが、覚悟と本気を磨きにくい
スペインではボランティアコーチなどほとんどいなく、ほぼ全員がサッカーを指導することで生活をしいてる
結果を残さなければ生活ができない、良い選手を育てなければクビにされるのである
やはりこんな生活をしているコーチとボランティアコーチとでは覚悟と本気のレベルが違うと思う(ボランティアコーチだから素晴らしいコーチがいるのも確か)
そんな環境にするためには、サッカーが常に人々の生活の一部になっている必要がある
スペインではバーで飲んでいるおっさんでもそれなりのサッカーのことを話す
まさに文化となっているのである
そんな日本をいつか観てみたいと切に思う
もっと本気になろう
もっと動いてくれ日本サッカー協会
もっと本気になってくれJリーグ
日本サッカーが成長するためには、ワールドカップで優勝するためにはまだまだ大変な道のりではあるが、少しでもそれに近づけるよう何かを発信し続け、自分自身もさらにもっと成長したいと本気で考えている